木村花さんの死と、「SNS規制論」

木村花さんの死と、「SNS規制論」について。

(「日刊ゲンダイ」より)
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さすがに国民も安倍政権の“狙い”を見抜いている――。

 いきなり安倍政権が“SNS規制”に動き始めた。直接のきっかけは、フジテレビの番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラー、木村花さん(享年22)がネット上で誹謗中傷され、急死したことだ。

 高市早苗総務相は、ネットに書き込みをした投稿者の特定を容易にするなど、悪意ある投稿を抑止する制度改正を検討すると表明。「スピード感を持って対応したい」と、年内に改正案を取りまとめる方針だ。投稿者の氏名や電話番号を開示対象にするという。さらに、自民党も対策を検討するプロジェクトチーム(PT)を発足させ、三原じゅん子参院議員が座長に就いた。SNSでの匿名での中傷を規制する法律を制定する意向だ。

 確かに、ネット上の匿名による誹謗中傷に対し「対策を取るべきだ」という声は根強い。亡くなった木村花さんには、「早く消えてくれよ」「吐き気がする」などとヒドイ言葉が投げかけられていた。


しかし、このタイミングで安倍政権がSNSの規制に乗り出した狙いはミエミエである。「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグをつけた投稿が700万を突破するなど、SNS上では政権批判が急速に広がっている。これ以上、安倍批判の声が大きくならないよう規制しようというのは明らかだ。

 早速ネット上には、<安倍晋三に反発する国民の発言を自粛させる法案だ><この対策PTは言論封鎖による人権侵害をする可能性が高い。ええかげんにせーよ安倍政権!こういった批判も出来なくなる可能性があります。人の死を利用するな!>などと反発の声が上がっている。

 実際、氏名や電話番号まで特定されるとなったら、多くの国民は権力批判に二の足を踏むに違いない。「#さよなら安倍総理」「#辞めるなら今だぞ安倍晋三」といったハッシュタグも立ち上がっていたが安倍批判は消えてなくなる可能性がある。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)がこう言う。
小泉今日子さんなどの有名人がツイートしたこともあって、検察庁法改正案の強行採決は見送られた。安倍政権はSNSの威力に恐れをなしているはずです。国民世論に成功体験を与えたことは失敗だったとも考えているに違いない。逆に言うと、SNSは市民にとって大きな武器です。もし、安倍政権の思惑通り、SNS規制法が成立したら、政権にとって都合の良い書き込みは許され、都合の悪い書き込みは認められない、ということになりかねません」

「#安倍政権によるSNS規制に反対します」のハッシュタグを立ち上げるしかない。

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