高橋洋一【日本の解き方】「質問通告問題」で野党の言動は、官僚への“パワハラ”ではないか ツイート日時でも不可解な主張

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【日本の解き方】「質問通告問題」で野党の言動は、官僚への“パワハラ”ではないか ツイート日時でも不可解な主張
2019.11.1
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森ゆうこ
森ゆうこ
 本コラムでは、森ゆうこ参議院議員(国民民主党)が10月15日に参議院予算委員会で行った国会質問をめぐる問題を取り上げてきた。

 台風19号が接近していた11日、同議員の質問通告が遅れ、各省庁の職員らが待機を余儀なくされたとツイッターで告発したことが発端だったが、通告内容が漏れていたと責任がすり替えられた。そして筆者自身も巻き込まれた経緯や事実関係を書いた。


 しかし、国民民主党立憲民主党は、通告遅れの調査をせずに、「漏洩(ろうえい)問題調査チーム」を立ち上げて、官僚を呼び付けた。

 同チームは非公開なので、外部からはさっぱりうかがい知れないが、21日の産経ニュースには、「18日の調査チーム会合では、官僚を怒鳴りつける声が国会の廊下まで響いていた」と書かれている。

 さらに「チームの1人は、高橋氏(筆者)へのヒアリングのため、同氏の携帯番号を役所側に教えたと明かしていた。チームは高橋氏に通告内容が『漏洩』されたと疑っているが、自分たちで電話して聞いたらどうか」とも書かれていた。

 筆者の携帯電話番号を知っている人物といえば、漏洩問題調査チームの複数の議員に心当たりがある。ただし、今のところ、それらの議員から、携帯番号を役所に伝えるという断りの連絡はない。携帯番号という個人情報を随分と粗末に扱う漏洩問題調査チームにはあきれてしまう。そもそも筆者に直接聞けば簡単に分かる話をどうして役人を使って調べようとするのだろうか。

 野党側が、筆者が漏洩された情報を持っていることの「根拠」とするのが筆者のツイッターだ。実際には、15日の森議員の質疑をNHKのテレビ中継で見た際、筆者の写真入りの資料が映っていたので、直後の同日午前11時57分にツイートした。


 しかし、漏洩問題調査チームでは、筆者のツイートは16時間前の「14日19時57分」というタイムスタンプ(日時の刻印)になっていると主張した。

 それを根拠として、23日の衆議院予算委員会で、柚木道義議員(立憲民主党)と今井雅人議員(立憲民主・国民民主会派)は質問し、北村誠吾地方創生相の辞任を要求した。

 ツイート時間が差し替えられた資料は、漏洩問題調査チームの資料としてメンバーの議員が公にしているが、その議論のために官僚が呼ばれている。この官僚は業務なので応じざるを得ないが、そこで理不尽な質問に答え、罵倒されているようだ。まさに国会議員による「パワハラ」ではないか。

 今年5月にパワハラ防止法が成立した。そこでのパワハラの定義は(1)優越的地位(2)必要以上の業務(3)労働悪化-とされる。

 漏洩問題調査チームの野党議員は、国会議員の(1)の「優越的地位」を利用している。筆者に直接聞けば用が済むことを官僚に質問し、(2)の「必要以上の業務」を強いている。その結果、答弁する官僚は事実関係を調べるために、超過勤務を余儀なくされ、(3)の「労働悪化」になっているといえるだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一

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